夢の一歩
「いつか」を胸にしまってきた私が、まだ夢の入り口に立つまで
長く続けている仕事には、口には出していなくても、「いつか、ここに立ってみたい」と思う場所があるのかもしれない。 私にも、そんな場所があった。
この夏、一つ夢が叶った。 と言っても、まだほんの入り口に立っただけなのだが。
「いつか、その舞台に」
私は、TOSSという民間教育団体で学んでいる。 その中に、夏の大きな学びの場「サマーセミナー」がある。多い時には1000人規模の先生方が参加してきたセミナーだ。
そこで授業をする先生方を見ながら、「いつか、その舞台に立ってみたい」と思っていた。 誰もが同じように思うわけではないだろう。でも私には、そこで授業で勝負できるということが、すごく楽しそうに見えた。
もちろん、楽しそうというだけではない。 多くの先生方が見ている前で、自分がつくってきた授業を出す。よかったところも、足りなかったところも、その場にさらされる。 それでも、やってみたいと思っていた。
憧れは、すぐに目標になったわけではない
「いつか」と思っていたからといって、すぐに具体的な目標になったわけではない。 目の前の授業をし、学び、うまくいかなかったことを振り返る。その繰り返しの中で、ときどき遠くにある舞台を思い出す。そんな時間の方が長かったと思う。
夢という言葉を使うと、一直線に努力してきたように聞こえるかもしれない。 でも、実際はそんなにきれいではない。自分にはまだ早いと思うこともあったし、そもそも機会をいただけるかどうかも分からなかった。
ただ、学ぶことはやめなかった。 授業をつくり、見てもらい、また考える。今振り返ると、その一つ一つが、見えないところで今回につながっていたのだと思う。
1年以上前から始まっていた
今年、私はサマーセミナーの非同期配信に登壇する機会をいただいた。 セミナー当日の舞台ではない。動画で授業を届け、それを見た講師の先生がコメントをくださる形である。
準備が始まったのは、1年以上前だった。 内容を考え、打ち合わせをし、収録し、編集する。収録も編集も、すべて自分一人で行った。チームがいるわけではないから、自分で形にするしかない。
完成した動画だけを見れば、流れていく時間はそれほど長くない。 でも、その後ろには、何度も考え直した時間や、撮り直した時間がある。編集画面を前に、「ここは伝わるだろうか」と迷った時間もある。
表に出るのは一本の動画でも、そこにたどり着くまでには、見えない時間が積み重なっている。 これは授業に限らず、どんな仕事にもあることかもしれない。
体調が悪くても、任された仕事は残る
収録を行った5月、私はかなり体調が悪かった。 正直に言えば、「どうしてこの時期に」と思った。でも、任せていただいた仕事だから、体調が悪かったことを完成度の言い訳にはできない。
もちろん、無理をすることを美談にしたいわけではない。 休むことも、体を整えることも必要だ。そのうえで、今の自分にできる準備をし、カメラの前に立った。
プロとして、やるべきことをやる。 その言葉は格好よく見えるかもしれないが、実際はもっと地味である。体調を整え、原稿を確かめ、撮って、見直して、直す。それを一つずつ進めただけだった。
それでも、最後までやり切れたことは、自分の中に残った。
挑戦したから、もらえた言葉
そして昨日から、ついに非同期の配信が始まった。 自分の動画を誰かが見ている。しかも、その授業に対して講師の先生がコメントをくださる。不思議な感覚だった。
下手くそかもしれない。 思うように伝わっていないところもあるかもしれない。もしかしたら、批判されることもあるかもしれない。
でも、出してみなければ届かなかった言葉がある。 挑戦したからこそ見てもらえたし、見てもらえたからこそ、次に考える材料をいただけた。
挑戦するというのは、自分の力を証明することではないのだと思う。 今の自分を一度外に出し、そこからまた学び直すことなのかもしれない。
夢は、叶った瞬間より、その後が長い
セミナー当日の舞台に立ったわけではない。 だから、「夢が叶った」と言い切るには、少し違うのかもしれない。
それでも、今年、選んでいただき、この場所に立てたことは、自分にとってかなり大きな一歩だった。 「いつか」と思っていた場所が、初めて現実とつながった。
ただ、ここで終わりではない。 今回の授業を見直すことも、いただいた言葉から学ぶことも、次の授業につなげることも、これからである。
夢というのは、叶った瞬間よりも、その後の方が長いのかもしれない。 だから今は、「やった」と胸を張るより、「ようやく入り口に立てた」と思っている。
大人になっても、下手くそかもしれないことに挑戦する。 批判されるかもしれなくても、自分なりに準備して出してみる。
今年の夏、その一歩を踏み出せたことを、私は大切にしたい。 もしよければ、見ていただきたいなと思う。
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